花火

6/19
前へ
/19ページ
次へ
心の声が聞こえたのか、おにーさんは、説明してくれた。 「あ、これ? ちょっと酔っ払いのお客さんが、ボトル割っちゃって、暴れるから抑えたら、割れたボトルで殴られて、今、病院で縫ってもらったとこだから。 あ、でも大丈夫大丈夫。 今は、麻酔効いてるから。」 あー、ホストか。 大変だな…なーんて思わない。 トー横キッズも売れないホストも変わんない。 朝方、道端で潰れるホストの方がきしょいかも。 うちらは、誰かが取ったホテル泊まったり、男の家で寝たりするし。 男子だって、寝たがるジジイやババアはたくさんいるから。 道端で寝たら即補導じゃん。 「ね、お水いる?」 私がテキトーに考えてる間、この売れないホストは、一応心配してくれてたらしい。 「んー、冷たいの飲みたいかも。 でもお水よりお酒がいいな♡」 わざとかわいこぶって言ってみる。 だってもーちょい寄った方が、男と寝た時、楽だから。 「だめ!ほら立てる?」 売れないホストは、私の腕を掴んで立たせようとする。 「ちょ!痛いよ!」 「あ、ごめ…。」 スカートの裾をパンパンと払いながら、自力で立つ。 売れないホストのお陰で、シラフになったわ。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加