花火

7/19
前へ
/19ページ
次へ
「ね!どこ行くの?大丈夫?」 「別に。宿探しに行くだけ。」 「宿ってホテル?どこ?送ってく。」 「めでたいね。売れないホストさん。 お金もらえる宿探さなきゃだから、着いてこないでくれる?」 「あ…。」 しまったという顔なのか、悟ったという顔なのか、そこで売れないホストの言葉は止まった。 「おにーさんこそ、刺されないよーに!」 「ね!うち来る?」 「は?話聞いてた? お金くれる宿探してるの。 売れないホストは金持ってないでしょ。 ヤリ損はやだ。」 「しないよ。 お金は、少しなら渡せる。 ただ、ちょっと散らかってるけど。」 「一万以上くれるならいーよ。」 私たちの市場価値は、本当はもっと高い。 でもなぜだかその時だけは、一万って言った。 「うん!わかった! じゃタクシー乗ろ。 ちょっと歩くと遠いし…。」 「お客に見られるとまずいから?笑」 「あ、いや。」 それ以外、売れないホストは話さなくて、こっちこっちと手招きで、タクシーの流してる方に歩いていく。 ビルのデシダル時計が気温30℃を表示してた。 熱帯夜か。 どーりで、暑いはず。 「乗って。」 先に乗った売れないホストは、タクシーの中から呼ぶ。 「大久保の○○のコンビニまで。」 運転手は、何も言わず車を発進させた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加