0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ね!どこ行くの?大丈夫?」
「別に。宿探しに行くだけ。」
「宿ってホテル?どこ?送ってく。」
「めでたいね。売れないホストさん。
お金もらえる宿探さなきゃだから、着いてこないでくれる?」
「あ…。」
しまったという顔なのか、悟ったという顔なのか、そこで売れないホストの言葉は止まった。
「おにーさんこそ、刺されないよーに!」
「ね!うち来る?」
「は?話聞いてた?
お金くれる宿探してるの。
売れないホストは金持ってないでしょ。
ヤリ損はやだ。」
「しないよ。
お金は、少しなら渡せる。
ただ、ちょっと散らかってるけど。」
「一万以上くれるならいーよ。」
私たちの市場価値は、本当はもっと高い。
でもなぜだかその時だけは、一万って言った。
「うん!わかった!
じゃタクシー乗ろ。
ちょっと歩くと遠いし…。」
「お客に見られるとまずいから?笑」
「あ、いや。」
それ以外、売れないホストは話さなくて、こっちこっちと手招きで、タクシーの流してる方に歩いていく。
ビルのデシダル時計が気温30℃を表示してた。
熱帯夜か。
どーりで、暑いはず。
「乗って。」
先に乗った売れないホストは、タクシーの中から呼ぶ。
「大久保の○○のコンビニまで。」
運転手は、何も言わず車を発進させた。
最初のコメントを投稿しよう!