思い思われ嵌め嵌まり

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次の出勤日、景子は例のカフェにやってきた。 このカフェのニ階からは、いつもの交差点が見渡せる。彼の様子を眺めるのに最高のロケーションなのだ。 そろそろかな、と思っていると彼がやってきた。景子は目を凝らして彼の様子を見ていた。 信号待ちをしている彼が、キョロキョロと辺りを見回している。何かを探しているのだろうか。そうしているうちに信号が青に変わり、彼は横断歩道を渡って景子の視界からいなくなった。 何だかとても切ない気持ちになった。 翌日は雨だった。 景子は昨日のカフェの同じ席に座って、そわそわしながら彼を待った。傘をさしていてわからないだろうか、と思ったが、予想に反していとも簡単に人混みの中の彼を見付けることができた。傘で胸元から下しか見えていなかったが、歩き方や歩幅やリズムで彼だとわかった。 信号で止まり傘を後ろに傾けて顔を覗かせたのは、やはり彼だった。 視界を広げた彼は、またキョロキョロと辺りを見回していた。 ――これってもしかして……私を探してる? そんな甘い期待を抱いているうちに信号が青に変わり、あっという間に通り過ぎる彼の姿を見送った。
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