思い思われ嵌め嵌まり

16/25
前へ
/25ページ
次へ
画面を見て景子は声を上げそうになった。 今別れたばかりの彼からだった。まだ近くにいるのではないか、と思わず振り返った。 『隼人です。今日は仕事何時に終わりますか?』 これを聞くということは、誘いがあるということだろうか、と考えていると、続けてメッセージが届いた。 『もし時間があれば、今日晩飯どうですか?』 景子は気が急いていた。 クールな女を演じて断ってしまうと、ニ度目があるかどうかはわからない。かといって、言葉を交わしたその日に誘いに乗るのはどうなのだろうか、と思ってみたり。 とりあえず返信した。 『仕事は五時半に終わります』 すぐに既読がついて返信があった。 『今日は忙しいですか?』 ――そうなるよね。 景子は少し考えてから返信した。 『大丈夫ですよ』 『良かった。じゃあ、いつもの信号のすぐそばにあるコンビニの前に六時でどうですか?』 『わかりました』 約束してしまった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加