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運ばれてくる料理は芸術作品のように見た目も美しく、味にも感動した。美味しいワインと雰囲気に酔って心地よい気分になり、煌めく夜景が贅沢な気分をより一層盛り上げてくれた。
景子はふと、先程のことを思い出して聞いてみる。
「さっきコンビニの前で『その気がなければ、今日はこれで解散しましょう』って言ってたけど、もしそうなってたら、どうしてたんですか?」
「そりゃもう……泣きながら二人分食べて帰りますよ。デザートまでしっかり。こんなとこ、もう来れるかわかんないし……あれはほんと、命がけの賭けでした」
隼人は苦笑いしていた。
「命がけ……」
景子は呟いた。
「ん?」
「あの時もそうでしたよね。男の子抱きかかえた時……」
「ああ……あの時、景子さん近くにいたんですよね?」
「ええ、すぐ横に」
「あの日、あの時間に、あんなことなかったら、景子さんは俺に気付いてなかったってことですよね?」
「……多分」
言ってからしばらく黙ったまま、また二人で夜景を眺めた。
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