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笹野side
改めて見ると非常に幼げで美しい女性だった。
長いまつ毛、こげ茶色の瞳、透き通るように白い肌、上品な唇。
都会の片隅にこんな愛らしい女の子がいたなんて笹野は思いもしなかった。
自分はこの子をあんなに荒々しく抱いてしまった。もっと大事に扱うべきだったし深く味わいたかった。全くこの間は酷いことをしてしまった。
仕事中は髪をまとめてきっちりとピンでまとめていたが、今はそれが解かれて肩の辺りでふわりと揺れている。
か細い肩に守ってやりたい、庇護欲が沸き上がる。媚薬の後遺症だと嘯いたが、あながち間違いでもないかもしれない。今すぐに抱きしめてキスをしたい。
「この間は、君がそういう行為に慣れている子だと思っていた。だからあんなに強引に抱いてしまった」
「いえその、慣れてはいませんが、自分が蒔いた種なので。あの場合は仕方がなかったと言うか、お手伝いしなくてはいけない立場でしたので、お気になさらずどうぞ」
「その敬語をやめてもらえるかな。普通にタメ口でいい」
部屋の狭さも問題だが、少し動くと彼女からいい匂いがする。小さくなって座っている窮屈そうな様子に、思わず彼女の腰を持ち上げて膝の上に乗せてしまった。
「あの……やっぱり後遺症ですか?」
彼女は両手で俺のシャツを掴んで、肘を突っ張って距離を取っている。
「ああ、そうだ」
ここまできたらもうはったりで推し通す。
「こういうことは、あまり……」
「大丈夫。問題ない」
何が問題ないのか、言ってる自分も訳が分からないが。彼女を怖がらせてはならない。
「今度は、もっとちゃんと君を大事に抱くから心配しないで」
左手で後頭部を支え優しく口づける。
最初はついばむように彼女の唇を味わい、呼吸するために少し開いた上品な口内に舌を這わす。唾液が口の中に入り込み彼女の舌が跳ねる。
激しく吸い付いた唇は音を立てて彼女の舌を執拗に味わった。
「これがキスだよ」
ぼーっとした様子の彼女の髪を優しく撫で耳元でささやく。
彼女の腕が俺の首の後ろに回されたのを合図にそっと抱きしめた。
流れるようにベッドへ誘い、長い時間をかけて彼女を愛撫する。お互いの肌がこすれ合う気持ちよさを感じて欲しい。
彼女の身体がとろけて、目がうつろになり、声が限界まできたところで、ゆっくり優しく彼女の中を俺で満たした。
この前とは違いじっくりと時間をかけた濃厚な営みだった。
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