新郎と義父

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「新婚旅行は半年先だけど、ちゃんと婚姻届も出したし。今日から僕たちは名実共に夫婦だよ」 改めて言うと照れる。真由も同じ気持ちみたいで、耳を真っ赤にしながら早口になった。 「ねぇ、(さとる)。ほんとにこんな古い家に越してきてくれるの? そりゃあ悟のマンションよりは広いけど」 「古くたっていいんだよ、真由の思い出がたくさん詰まった家なんだから。それに子育てするなら戸建てのほうがいいでしょ?」 子育てするにはまず子供をつくらなくちゃならない。連想したのか真由は更に赤くなった。 「悟……」 いい雰囲気だ。僕はそっとバックハグを解いて真由の正面に回り込んだ。 そのとき、不意に後ろから声がかかった。 「いやぁ、今日はいい式だったねぇ。ところで悟くん、ちょっと折り入って頼みがあるんだが……」 「おおおおおおお義父さん!?」 驚いて魂が飛び出るかと思った! 僕の脳天からは自分でもびっくりするくらいのでかい声が出た。
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