新郎と義父

3/3
79人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「いやぁ、新婚夫婦のお邪魔をして申し訳ないと思ってるんだがね」 義父よ、そう思っているなら今日は遠慮して欲しかった……だが、気の弱い僕にそんなことが言えるはずもない。 「君に嫁がせて名前も変わった娘に執着するのもあれなんだがね。今更ながら、以前娘としたを果たせていないことに気づいてしまってねぇ」 アハハと笑いながら義父は頭を掻いた。 「ちょっと明日一日、お借りできないかと思って!」  この期に及んでこのおっさん、とんでもないことを言い出した。 「このまま嫁がせたんじゃ、心残りなんだよ、頼むよぉ」 お義父さんは両手をすり合わせて頭を下げてくる。ここまで頼まれちゃしょうがない。そもそも僕は拝まれたら断れない体質なんだ。 「わかりました」 「いやぁ! ありがとう!」 義父は嬉しそうに微笑んだ。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!