ピアノ練習方法についての研究その7~ツェルニー30番レベルの練習計画~

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ピアノ練習方法についての研究その7~ツェルニー30番レベルの練習計画~

ツェルニー30番のレベルになると出来る事が多くなり、教本、曲の選択肢が増えてくる。それに伴って練習のバリュエーションが増えるので、何から手をつけて良いのか迷うようになってくる。ここでどんな練習計画を立てれば良いのか考察しよう まずテクニックについてである。今までにスケールの練習はある程度こなしてきたと思う。よってこの段階では2オクターブのアルペジオの負荷練習をやるとよい。親指をくぐらせる事になるが、このくぐった後の親指だけ打鍵が強くなりがちだ。 そこで、1音ずつ長く伸ばす練習、1つの指だけ強く打鍵する練習などをやって最終的に打鍵の強さが均等になるようにしたい。クラシックを目標にしている人は、30番では出てこないオクターブや分散オクターブの練習を、この段階からやっておくとよいだろう。この練習をアップで3分位やるとよい またアップの続きで今までにやったブルグミュラー25の曲を1曲弾くと丁度よい。 一度練習した曲はなるべく長期に渡って繰り返し弾いておくと完全に定着し、演奏力が上がる。 短期間に同じ曲を集中するより、新しい曲の練習をしながら復習を兼ねて長期に渡り弾いておくと定着が強くなる。ブルグミュラー25が定着すると技術的な穴が無くなるのでこの練習は重要だ。 ここまでの5分程度でアップが完了し、調子が出てくる。そうしたらメインのソナチネや30番に移る。曲を普通に弾いて、ある程度テンポ良く弾けるようになったら、いつものように負荷練習をする。ブルグミュラー25ではアクセントをつけたり1音飛ばしで長押しをする負荷練習をしてきた。ツェルニー30番でやっておきたい負荷練習は保持だ。これは特定の指を打鍵したまま他の指を動かす奏法である。No.1や2で出てくるが、他の曲でも自分が強化したい部分を見つけて、アクセント練習等と合わせて保持の練習をしておくとよい。保持はかなり難易度が高いが、指の動きが自在になる。 指が疲れてきたら初見練習をして指を休めるといい。このレベルに適した初見教材はバイエルの前半部と初級アレンジ曲のやさしめの曲だ。 バイエルの飛ばした曲を初見で弾くとよい。初見は一般に三日坊主になりやすい。これは初見用の楽譜を明確にしていないから起こることだ。初見を取り入れない人は多いが、ピアノの上達速度は初見力にかなり関係する。曲の仕上がりが速くなるからだ。また、老人がボケ防止にピアノをやる場合、初見が一番脳に負荷がかかる。ハノンを惰性で弾いているときは脳の運動野の一部しか動かないが、初見は脳の並列処理が求められる。これは脳にとって大変厳しい訓練だ。 また、幻想即興曲やラ・カンパネラのような典型的な難曲を目標にしている人は、この段階から難曲を少しずつ練習するとよい。曲がどのようなテクニックを要求しているのか、何が出来れば弾けるようになるのかを把握するためだ。ゴールからの発想で必要な事を把握したら、その傾向に添った曲を教本で練習するとよい。目標はいわゆる指針である。満遍なく弾ける事を目標にするのでなければ、必要な事を把握した上で練習を進めると到達が早くなる。 メイン練習やテクニック練習の他に初見や難曲の練習と、この段階ではやれる事が増えてくる。時間が取れるときは全てこなし、時間が無いときはメインの負荷練習と初見だけのような使い分けをするといい。こういった工夫をする事でピアノそのものに馴れるだけではなく、練習の仕方も上手くなってくる。 最後になるがツェルニー30番は全部やらない方がいい。10曲か15ぐらい必要だと思う曲を一通りこなしたら、40番のレベルに移ろう。
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