ピアノ練習方法についての研究その8~ツェルニー40番は全部やらない~

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ピアノ練習方法についての研究その8~ツェルニー40番は全部やらない~

ツェルニー40番レベルの練習方法を考察しよう。一番重要なポイントはタイトルにも書いたが、全部やらない事である。40番は30番より1曲が長くなり、さらに40曲もある。30番もそうだが、こういう教本を全部やるのは費用対効率の面でもあまり意味がないし、挫折に向かって一直線に進むようなものである。特にこの40番やソナチネアルバムのような分厚い教本を使う場合、自分に必要な曲、好きな曲をセレクトする覚悟が必要だ。 ツェルニー40番の特徴と練習方法を考えよう。40番は30番とテクニックレベルや音形はそれほど変わらない。速度指示だけ異常に速くなるがこれは無視するのが業界の約束だ。30番からグレードが上がる要素は、打鍵のやりにくさが生じる点である。黒鍵を弾き、黒鍵と黒鍵の間の白鍵を弾き、また黒鍵を弾くというようにミスタッチをしやすいパートが出てくる。 こういった特徴を持つ40番を練習する事で打鍵の正確さ、別の言葉で表現すればミスタッチのしにくさを鍛える事ができる。ここでお勧めの練習方法は大袈裟にスタッカートを弾くことである。指を通常のスタッカートより高く上げて、敢えてミスタッチをしやすい状況を作って弾くのである。 それから同時押しの練習もいい。例えばドミソドミの音形ならド(ミソ)ドミのようにミとソを同時に弾く。次にドミ(ソド)ミソのように同時に弾く音をズラす。これをやることでタッチの正確さや指の柔軟性が鍛えられる。指を広げた状態で弾かなければならいからだ。しかし、指を広げた状態で楽に弾けるように練習すると通常のタッチは楽になる。こういった負荷練習を40番を使ってやるとよい。 ツェルニー40番レベルの練習スケジュールは30番の時のやり方を踏襲するとよい。30番で練習のリズムが作れたと思う。その調子でそのまま継続する アップで今までこなした30番やソナチネを弾く。2日に1回ぐらいはスケール系の曲を30番かソナチネから1曲セレクトするとよい。別の日にブルグミュラーからアルペジオ系の曲を1曲セレクトする。 40番のレベルに入っても、30番やブルグミュラー25をしつこく復習すると技術が磐石になる。復習に特にオススメなのがブルグミュラー25と30番だ。これらの教本は40番よりさらに上のレベルに上がっても、負荷のかけ方を工夫して長期的に繰り返すとよい。ブラインドタッチや暗譜なども高負荷練習として推奨する。 アップで調子が出てきたら、メインの負荷練習をする。指が疲れたら初見でインターバルを取る。40番レベルでお勧めの初見はバイエルの中盤から後半だ。初見は難易度が高いので、40番レベルの人でもまだバイエルから出ない方がいいだろう。
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