6人が本棚に入れています
本棚に追加
/316ページ
もう何かを偽ることはなく、想いを伝え合えるはずなのだ。
一郎さんと瞳子さんは、通じ合った気持ちで何を語り合っているのだろう。
黄昏に光る波がキラキラと輝いている。まるで想い合う二人を祝福しているかのように切なく美しかった。
波打ち際に立つ二人。絵画のように綺麗な情景。
忘れたくない。
いつか瞳子さんが教えてくれたように。
(全てがなかったことになっても、気持ちは残っているんじゃないかって。結びつく記憶がなくなっていても、心の中にだけは、何かわからないまま、でも宝物のように残っているんじゃないかって)
できればそんなふうに心に残ってほしい。
今、この瞬間の気持ち。
宝物のように。
そう願わずにはいられなかった。
――AD(全次元)、カウントダウン。
――1。
最初のコメントを投稿しよう!