始まりの春

2/14
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「こんにちは、こころさん。こころさんの転入する一年B組担任桐澤です。」 「冬月雪斗(ふゆつきゆきと)、学級委員」 冬月、と名乗るブレザータイプのスラックスをキッチリと着こなした男の子はクール系の男子のなかあまり喋らない。では、と一礼して教室に戻ってゆく。一連の話を聞くと制服と学年カラーなのだろう緑ラインが入った上履き、そして青いBと書かれたクラスバッチが渡される。 さっそく、と隣の準備室に入り私服から制服へと着替えるように言われる。準備室においてあるトルソーにかかる3種×夏冬で6つの制服は、学ラン夏冬、セーラー服の夏は白に灰青色のラインが入ったセーラーか、白に灰青色のスカーフのセーラー、そして灰青色のスカート。 冬は灰青色のセーラーに白ラインか、灰青色に白いスカーフだ。スカートは夏服の記事が厚くなっただけだ。この学校にいる幼馴染に言われてセーラーはどちらの種類も購入した。今回は夏服のセーラー1の方に着替える。 「おまたせしました」 もともと明るい栗色の猫毛をハーフアップにして桐澤先生に声をかける。 「じゃあ、B組にいこっか。うちのクラスの子達は仲がいいからすぐ馴染めると思うよ」 そう声をかける先生と目を合わせないようにうつむく。校舎の4階、フロアの丁度真ん中二位置するB組からは周りよりの騒がしく色々な声が聞こえてくる。 たしか紅葉はA組だと言っていた。離れたのか、チャイムが鳴り先生と一緒にクラスに入ると今まで騒がしかった教室がぴんっと張り詰めたように静かになる。 「今日は知っての通り転校生を紹介するよ。春花さん。」 すうっと冷たい息を吸い込み深呼吸をすると予め考えていた簡素な自己紹介をする。 「東京からきました。春花こころです。よろしく」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!