19人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ
ここは、東の国の外れにある山の麓の小さな村。古来より一番最初に太陽が昇る地と呼ばれており『山神様』が住まう山として人々から崇め祀られている。
この地には決して破ることの許されない伝承があった。
一、山で名を呼ばれても振り向くべからず
ニ、山神様を名で呼ぶべからず
三、山神様の顔を見るべからず
四、山神様と盃を交わすべからず
なぜなら、山神様は人を喰らう神だから。
けれどー……
僕にはそんなことはどうでも良かった。
「蒼こちらへおいで」
誰にも呼ばれなくなったこの忌まわしい名を、貴方が優しく呼んでくれたあの瞬間からー……
僕は、貴方だけのもの。
だから、僕は禁忌を犯す。
全ては、あなたに黎明を捧ぐため。
最初のコメントを投稿しよう!