極悪婚活カウンセラー編

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 しばらく夫は自宅に帰ってこなかった。   食事も用意しているが、結局手付かずのまま腐らせてしまう。  夫はミイとよっぽど相性が良いか、連日彼女とホテルに行っていた。  今のところミイからの被害はない。  ただ誰が書いたか不明の手紙がポストに投げ込まれていた。  手紙はパソコンで打ったものと思われる。筆跡はわからない。もちろん宛名もないので誰が送ったかわからない。  内容もただの手紙ではなかった。「田辺の妻を殺す」と書いてあった。殺害予告か脅迫状と言えるものだった。  気味が悪い。  文花はミイが犯人である可能性が高いと思ったが、証拠がない。  こんな手紙が来たのは一回だけだが、連日続くようなら警察に相談する事も考えねば。  しかし文花は警察に不信感があった。夫の不倫が週刊誌に載りスキャンダルになった時、イタズラ電話や近所に張り付く記者に困り相談しに行ったが、まともに取り合ってくれなかった。それどころか夫と不倫相手のゲスいメールの内容を週刊誌にリークしたんじゃないかとニヤニヤ笑いながら言われた。  そんな事はしていない!と言っても、不倫されたのは奥さんがメイクもせず女を捨ててるせいだと頓珍漢な事まで言われた。  まるで笑い者。  被害を受けている人間だとは扱ってくれなかった。以来文花は警察に不信感がある。  だからといってこのままにしておくつもりはない。  あれから華とメールのやりとりをしていた。アパレルメーカーに勤めていた時のミイの素性は少しづつわかってきた。  華は社内でのミイの噂を新たに調べて来てくれた。彼女は今もそのアパレルメーカーの社員だった。  ミイに不倫をされていると事情を打ち明けると同情され、知っている事は教えてあげるという。  華のことはよく知らないし、信頼に値するかは判断できなかったが、共通のミイという敵がいるせいかメール越しでも仲間同士の様な感情を抱かせた。  文花がより知りたかったのは、ミイが不倫をしていた時、奥さんにどんな嫌がらせをしていたかという事だった。  華はあくまでも噂だと前置きしていたが、悪戯電話や家の前にゴミをばら撒いたりしていたらしい。またSNSで不倫のよったポエムや匂わせた様な投稿をして挑発していたという。当時のSNSはもう削除されているが、社内では噂になり、もともとミイに敵対する社員たちは笑いのネタにしていたという。  華からの情報からますます自分に変な手紙を送っているものはミイだと思ったが、確証はない。警察に言ってもあしらわれるかもしれない。  しかし、このまま放っておくつもりはない。文花はよりミイについて調べなければならないだろう。   今度の不倫相手はタチが悪そうだ。  このまま何も起こらない事を祈るより他なかった。
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