記憶喪失の僕と約束の手紙

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その後。○○町につくまでは、思いの外順調だった。特になにか起きるわけでもなく。電車を乗り継いでいけば辿り着いた。カプセルホテルには泊まったけれどそこで何かが起きるということもない。 ○○町からはバスに乗る。翡翠村行のバスのあるバス停も駅から近く迷うことはなさそうだ。そして待っていればバスが付く。人はあまり乗っていない。昼の二時だからだろうか? それから僕は窓側の座席に座り窓を眺めた。 翡翠村の方へ向かうバスから見える景色はだんだんと住宅街という通りから、人の少ない田舎町という感じに変わっていき、畑が多く、少し古そうな建物が見えてくる。祭りの準備なのか灯籠を用意する者もバスの窓から見れた。 そうして窓を見ていれば気づけば最終地点であり目的地の翡翠村のバス停へと付いていた。僕はそこで降り、まず第一に時計を確認する。時計の針は16時36分を指していた。つまりあと約束の時間まで一時間半くらいある。 だから僕はとりあえず村の方へ向かうことにした。多分僕も約束のときバス停を約束の場所にはしない気がしたから。なんとなく。視界から広場ような場所は確認できた、たぶん約束するならそっちだろうな、と。だからそちらへと僕は向かい始める。
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