親友が落ちてきた

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 槇原(マキハラ) 純麗(スミレ)は幼馴染兼親友だった。  家が近く、母親同士が仲が良かった為、私とスミレが親しくなったのはまぁ必然だ。  スミレは背が高くて骨太な私とは真逆の小さくて華奢な子だった。顔つきも男顔の私と違って色白の丸顔で、二重のクリッとした目が特徴的な愛らしいもの。  私達は性格も正反対で、一人っ子でおっとりマイペースなスミレをぐいぐいと引っ張っていくのが私の役目だった。スミレの母親の口癖が「小露(コツユ)ちゃんが一緒なら安心だわ」だったことは今でもよく覚えている。  スミレは些細なことでも直ぐに泣いてしまう子で、それが面白いと小学生の頃には同じクラスの男子達によくからかわれて泣かされていた。そんな男子達を蹴散らすのが私の役目だったのだが、男子達がスミレにちょっかいをかけるのは“好きな子ほどいじめたい”という心理からくるものだということに私は気がついていた。  それはおそらくスミレも同じだったと思う。彼女は半べそで「コツユちゃん、ありがと~」と言いながらも、からかわれている時はどこか媚びた態度で男子達を挑発……いや、誘惑しているように見えた。
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