親友が落ちてきた

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 中学になるとスミレの可愛らしさには更に磨きがかかった。  幼稚な嫌がらせをやめた男子はその愛らしさを褒め称え、スミレを自分だけのものにするのに必死になった。  男共に祭り上げられてまるで女王の様に振る舞うスミレのことを面白くないと思うのが女子達で、彼女達は「可愛いからって調子にノッてる」「ぶりっこ、男に媚びてて気持ち悪い」「小学生の頃から男好き」などと影でスミレのことを侮辱して積極的に関わろうとはしなかった。  一度だけスミレに「女の子の友達も作ったら?」と忠告したことがあるが、クスクスと蠱惑的な笑みを浮かべて彼女は言った。 「話し相手も遊び相手も男の子で事足りるよ。スミレが困ってたら男の子達は直ぐに助けてくれるしね。それに、女の子の友達ならコツユちゃんがいるもん。あたし達“親友”だもんね」  そうは言うが実際スミレが困っていたら(変な男に執着される、女子の先輩に呼び出される...etc.)飛んで行って助けていたのは私だし、そのせいで私まで「草笛(くさぶえ)さんって槇原さんの子分みたいだね」と女子からチクチクと言われたものだ。
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