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 細い弓の形の月が、辺りをほんのりと照らしていた。波は穏やかで、波打ち際を優しく撫でて平らに(なら)している。 (グワア グワア!グワワワ!)  不意に、ミニブタとウサギは、昔アヒルが楽しそうに歌っていた歌を思い出した。波の音がそうさせたのかもしれない。  二匹はどちらからともなく、その歌を口ずさみ始めた。 「グワア グワア グワア」 「グワワワワワ…」  意外と覚えているものだ。二匹は笑い合った。 「アヒルにもまた会えるかな…」 「ええ、きっといつか」  孤独なミニブタはこの砂浜でウサギに会うことができて、同じくらい孤独なウサギも、同じ砂浜でミニブタに会えた。  だから、二匹とアヒルがここで再会したとしても、全然不思議ではないだろう。
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