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『──本日、最高気温を更新しました』
そう告げるニュースキャスターに、私は「またか」と内心で呟いた。夏が暑いのは当たり前だが、こうも止まることを知らない気温の上昇には辟易してくる。
「お父さーん! 見て見てー!」
今年小学生になった可愛い息子が駆け寄って、一枚のペラ紙を私に渡した。
「へぇ、夏祭りか」
「ね、行こう行こう!」
そのチラシによると、近くで数年ぶりに開催するらしい。最近は日差しが強すぎて家にこもりがちだったが、夜なら昼より涼しいからいいかもしれない。
それにせっかくの夏休みなのだ。思い出の一つぐらい作ってやらねば、息子が可哀想な気がした。
「僕、『金魚すくい』がしたい!」
「金魚、すくい……ね」
息子のその言葉に、私の意識は過去へ遡る。真夏でも今程よりも暑くなかった、三〇年前の夏祭りの夜に。
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