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見据エル
『にゃーっ』
さっきあげたばかりなのに、もう欲しがり屋さん。
うちの娘はおしゃべりな子なので、喉の強さを見せつけるかの如く、よく鳴く。
何オクターブあるのか分からないが、妖精の声(イメージ)で鳴いたり、地底人の声(イメージ)で鳴いたりと多種多様だ。
だが、時に『鳴かない』を発動することがある。
私の正面に座り、私をじっと見据える。気づかないふりをしていると、わざと立ち位置を直す素振りで座り直す。咳払いの一つでも聞こえてきそうだ。
にゃーにゃー勢いあるおねだりなら、仕込みのハイタッチであげちゃうのだが、この状態は厄介だ。
私は負けないよ。
どちらが上か、ちゃんと分からせなくちゃ!
向こうからハイタッチ仕掛けてくるまで無視無視。
マウントは譲らない。
ん〜〜気になる。。。
ちょこちょこ両前足を立ち直す仕草が視界に入り込んでくる。分りやすいサイレントニャーもオプションでついてくるから、可愛くて仕方がない。
試しにハイタッチを促してみる。
足踏みのように近づきもせず、片手をやや上げたり下げたりする娘。これは攻防戦なのか?
私の上げた腕が先に疲れてしまい、下ろして時を待つ。
もう、おねだりのことなんて忘れかけた頃、大きな伸びとともに近づいてくる娘。
決して折れたわけじゃないよ、という顔が私は好きだ。
お口周りのヒゲではないシャワシャワした毛を私の口周りに付けながらニャーとする娘。
分かりました、あげましょう♪
はいはい、ハイタッチ♫
最近のお気に入り、スプーン型のトロっとしたやつ。
なぜだか娘は、んーんー唸りながら両手のハイタッチを済ませ、スプーンに夢中となる。
なぜだか、んーんー。
やはり折れたような感情があるのだろうか。
マウントをとれていない証拠だ。
我が家の天使はまた数分後に、ミスエルと化すであろう。
『(´-`).。oOまだか』
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