新聞部と曲者の夏祭り

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春くんからの連絡を受け、私は言われた場所に向かった。 最後の懇願するような感じが気になったが、行けば分かることだろう。 「チョコバナナ」と大きく書かれた屋台を見つけ、キョロキョロと周りを見回せば春くんの姿が視界に入った、が。 「なんか怯えてる……?」 不審に思いつつ近づいていき、私はその理由がわかった気がした。 「杏珠さん!」 「杏珠っ、助けてぇぇぇぇ!」 「……」 うっわ、最悪だ。 確かに名簿には入ってた。入ってたんだけど……! 私は目の前にいる男二人組を見て溜息をつきたくなる。 前に「BL特集」でいろいろあった三年生の先輩たちだ。 「あの、杏珠さん、この人たちは……」 春くんが困ったように聞いてくる。 私はもう一度溜息をついて二人を見据えた。 別に二人でどうこうするのは自由なんだけどさぁ。 そこは別にいいんですけどさぁ。 「若林先輩、向山先輩が苦しそうです」 「そうか?」 「はい」 道の真ん中で小脇に男抱えて平然と歩くのやめてもらっていいですか??? 絵面がヤバいんですけど。 小脇に抱えている方の男、若林先輩は精悍な顔つきを仕方ないというふうに歪め、向山先輩を下ろした。 向山先輩は若林先輩から解放されると、いきなり私と春くんに抱きついてきた。 「杏珠ぅ、君ぃ、ありがとうううう!」 「は、はぁ」 「向山先輩、離してください。アンタの彼氏が怖い」 「杏珠、俺別に若林クンと付き合ってないよ!?」 「知ってますよ。でも、アナタが付き合ったら全て解決するんですよ」 嫌だっ!と叫ぶ向山先輩を引き離し、しょうがなくメモ帳を取り出す。 いい加減諦めりゃいいのに。 「えっと、この方々は?」 ああ、春くんは知らないのか。 いや、知るはずないよな。取材したの私が入部したばっかの頃だし。 「こちら、前に取材させてもらった若林先輩と向山先輩。若林先輩はまあ、見ての通り向山先輩が大好きでね。向山先輩はそんな若林先輩から逃走してるわけ」 「ワカバヤシクン、マジコワイ」 向山先輩の片言に春くんが顔を強ばらせる。 まあ、後ろからの視線の圧もすごいもんね。 相変わらず怖いわ、若林先輩。 「ああ、そうだ。先輩、こちらは一年の春日翔くんです」 「お願いします」 「よろしくね、翔」 握手握手〜とやっといつものテンションに戻った向山先輩が手を差し出し、春くんがぺこりと頭を下げる。 「てことで、取材いきます」
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