とある魔女の師弟の話

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「ほーら泣かないのー」そういって飴を一つ手渡しで渡したあの日のことを思い出す。 今日は弟子の魔女試験の日。 出会いは泣いてる今の弟子を見かけて思わず声をかけてしまったことだった。それから泣いてる理由を聞いて「家を追い出されたぁ」と泣きながら泣きじゃくりながら答えて。3日近くにいたけれど親は来ず。街の掲示板の依頼にも迷子探しの依頼はなくて、本当に捨てられた子なのだと悟った。だから私は、その子を弟子にした。魔女の弟子に。そして一つ約束させた、「家は無理でもうちにきな そして立派な魔女になれ」と無茶苦茶のことではあったけれど。 それからは慌ただしい日々。魔法文字を教え、薬草の扱い方を教え、星を読めるようにして、魔法を使えるように勉強詰めの日々。 もう嫌だと泣き言はいても、厳しく接して、初めて魔法が使えた日はお祝いして。そんなこんなですぐに日が過ぎていって。 「ただいま!」という一日あってないだけなのに懐かしい声と家のドアをばたん!と開ける音がする。そして音のする方を見れば、昨日と同じ、魔法の黒色ローブ、魔女帽子を着ていて箒を持っていて。でも昨日とは違う、杖の形をしたバッジがついていた。「合格したよ!ししょー!」その声に反射的に手を伸ばして弟子の頭を撫でて、「おめでとう。これではれて一人前だ」でもその声はくすんでいた。涙のせいで少し枯れていた。
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