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 ベッドに横たわる花蓮が、ようやく瞼を持ち上げた。   「あれ、わたし。リヒト、リヒト!」  勢い良く身体を起こした花蓮は、側頭葉に激痛を覚え、再び倒れそうになる。そんな花蓮の身体を、そっと抱きかかえるように受け止めたのは、理仁だった。 「カレン、ありがとう。手術は成功したよ」 「リヒトォ、良かった。良かった、良かった……」  二人を見守っていたマリアが、ふと、こんなことを言った。   「あんた達なら、実現できるかもしれないね。人間とロボットが結ばれる、新しい世界を」  腕を組み壁に(もた)れているマリアは、向かいの壁に描けてある一枚の絵に視線を移す。そこに描かれていたのは、太陽を模した赤い円を背景に、女性の人間と男性のロボットが手を繋ぎ、並んで立っているシルエットだった。マリアの視線を辿った理仁が訊ねた。 「マリアさん、この絵は?」 「これはかつて、アタシたちロボットの創始者が夢見た理想郷。彼は、人間とロボットが対等に共生する世界を、実現しようとしたんだ」 「僕と同じ理想だ」 「私も同じことを夢見ていたわ」 「カレン。一緒に、世界を変えよう」  理仁を見つめる花蓮は、力強く頷いた。  そんな彼らの肩へ腕を回したトーラスは、二人を抱えた手に力を込め、こう言った。   「お前たちが、新時代のアダムとイブになれ」  新時代のアダムとイブ/おわり
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