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「あら、あら。坊や、良くぞここまで溜めたもんだねぇ。これ程の大きさの油は、アタシも初めてだよ」    そう話したのは、腰上まである長い黒髪を右耳に掛け、前を開けた白衣を着ている背の高い女性だった。白衣の下は、股が見えてしまいそなほど丈の短いスカートにキャミソール一枚という、露出の多い恰好をしている。大きな円形のイヤリングが印象的だった。   「アタシの名前はマリア。機械よ。リヒト、だっけ。どんな字書くの?」 「あ、理科の理に仁義の仁で理仁(りひと)です」 「そうかい、立派な名前じゃないか。アタシはね、ロボットが与えられる名前に興味があるんだ。人間と同じ名前が与えられているということは、大事にされていたんだね」 (大事に……。カレンは、僕がロボットだと知っていたのだろうか) 「じゃあ、そこのベッドに上がって、横になって」 「はい」
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