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恋愛?何それ、興味ない。
高校生となると、どいつもこいつも、恋愛とやらにうつつを抜かす。
本当にバカバカしいとしか言いようがない。
恋愛なんて単なる煩悩。結局は性欲を満たしたいだけだろう。
嘆かわしい。
そう、アルファでもある俺、志垣順平は考えている。
アルファはより一層のこと、勉学や部活動に勤しみ、オメガは良くは知らないが、恋愛なぞに振り回されず、アルファ以上に努力をするべきだ。
高校生だからなおのこと。
俺達、アルファやオメガは妊娠やら番やら、面倒ごとを学生時代に起こしたら、たまったもんじゃない。
中には許嫁がいるアルファやオメガは致し方ないかもしれないが、恋愛なぞ、卒業してからにすればいい。
幼馴染のオメガ、佐原圭は俺の良き理解者だ。
「 わかる!順平の言う通りだよね!任せてて!これからも順平に言い寄ってくるオメガは諦めさせるから!」
圭は俺の手間を省く、と、俺に言い寄ろうとする他のオメガに対し、
「 僕は順平のフィアンセなんだから、諦めてね!」
と嘯いて、厄介なオメガを追い払ってくれている。
圭と、婚約の事実は無いが、圭の発案で、大抵、いや、100%の割合で、俺に恋しただのと抜かすオメガは追い払われている。
いつか、きっと、圭には、出来たアルファの旦那が出来るだろう。
なかなかな美形な上に、ここまで、賢いのだから。
登校した教室は何故か、クラスメイト達が浮き足立った雰囲気だ。
「 転校生が来るらしいよ」
「 転校生...なるほどな」
担任がクラスに登場し、クラスメイト達はそれぞれ足早に自分の席に戻っていった。
「 あー、みんな、今日は大ニュースだぞ、転校生だ」
わぁー!どんな人かな?
アルファ?オメガ?とあちこちで騒がしい。
「 入っていいぞ、二人とも」
クラス中が、
「 二人?」
と気の抜けた声が漏れた。
現れたのは...ドッペルゲンガー?
瓜二つな小柄で華奢、色白な生徒。
「 双子!?」
何処からとも無く、そんな声がした。
「 じゃ、自己紹介を」
「 神崎真琴です、よろしくお願いします」
「 神崎三琴です、よろしくお願いします」
....名前は違えど、声まで一緒、どっちがどっちかわからない。
と、二人が同時に目を見開いた。
「 ....?」
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