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...しっかし、暑い。暑苦しい。
今日は夏のわりには日差しも少なく、風もある屋上の筈が...。
「 今日のお弁当、なかなか美味しいね!」
「 野菜、ちょっと少なくない?」
「 あ、確かに。ブロッコリーとミニトマトだけだしねー」
俺にベッタリくっついてお喋りしながら、弁当に舌鼓をうつ、真琴と三琴の双子の体温のせいだ....。
「 ....あー、神崎くん」
途端、私語をピタ、と止め、二人が箸も止めて俺を見上げる。
あ、双子だから、同じ名字か。
「 あー、真琴くん、と、三琴くん?」
「 僕が兄の真琴でそっちが三琴だよ?順平くん」
「 ....ドッペルゲンガーじゃ無かったんだ」
圭の冷めた声に、
「 俺も最初、そう思った」
「 「 ひっどーい!」」
「 うちのクラスに転校して来た双子、らしい」
「 ....どっちがどっちかわからない」
む、とした顔で瞬きもせずに圭は俺にくっついて弁当を食べる二人を同時に睨む。
「 僕が真琴、ほら」
「 僕が三琴、ほら」
首元までしっかり閉めたボタンを軽く外すと、真琴の首には黒のチョーカー、三琴には白のチョーカーが見えた。
「 わざわざ、カッターシャツを開けて、確認しろ、と!?」
「 これね、ここに猫のチャームが付いてるんだ、ほら」
「 可愛いでしょ!?特注で作って貰ったんだ、お父様に」
「 確かに可愛いな...」
小さなシルバーの猫のチャームは可愛い...
「 「 お父様?」」
俺と圭の声がリンクした。
「 え?うん。この学園の理事やってるの、お父様」
....オメガなのに。ボンボン?
オメガはアルファと違い、あまりいい境遇ではない場合が多い。
「 父親のアルファが優秀、てだけでしょ」
圭がそう言って、白米を口に運んだ。
「 え?ううん、お父様、オメガだけど」
真琴がさらっと応え、圭がむせた。
「 ....暑いから、少し離れて。真琴くん、三琴くん」
「 くん、は要らないよー」
「 だよー、今更じゃない、順平くん!」
....俺、本当にこの双子の知り合い....なのか?
学園の理事長を父親に持つ...?
うちの家庭は一応、財閥だが...。
帰宅したら、両親に尋ねる必要があるな。
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