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うすっ。じゃあ、次は俺が話させてもらうっス。しかし、いつものゼミメンバーとはいえ緊張するっスね。急に九条先生から「百物語やろう!」なんて言われた時は驚いたし、怖い話なんて一個も知らなかったから、得意のギターで一曲弾いて誤魔化そうと思ってたんスけどね。皆、怖い話じゃなくて「世にも奇妙な物語」みたいなちょっと不思議系の話を語ってるな〜って思って、そういや俺もそういう体験は一個あったな〜って思い出したんスよね。……体験って、「個」で数えて良いんスかね?
おっと、そろそろ夜も遅いし、この貸し教室、あと2時間くらいで退出しなきゃいけないんスよね。急いで話を始めなきゃいけないっスね。
皆さん、ご丁寧に自己紹介して話し始めてるので俺もそうするっス。奨学院大学2回生、九条ゼミの雷動余弦! 彼女募集中っス!
何? そういうのはいらんって……。月白先輩、ちょっとした場を和ませるジョークっスよ。……いや、そんな冷たい目で睨まんでください。怖いっス。
俺がこれから話すのは高校の時の宵山での出来事っス。いや、話自体はその年の春から始まるんスけどね。怖い系じゃなくて、むしろ俺が前向きに生きるきっかけになった、ちょっと不思議な話ってやつっスね。
まぁ、俺の家の事情とかも絡んでくる話なので、慌てず急いでなるべく分かりやすいように話すっス。分かりづらい部分とかあったら、口を挟んで質問とかしても全然良いっスよ。
そうっスね……。タイトルを付けるなら「宵山Opening Night」! よろしくっス!
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