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バサバサバサバサ、と近くで鳥が数羽飛び立っていった。
こんな時間に珍しい。
魔獣か?まだ残ってたのか?
と、飛び立っていった方へゆっくり歩いていくと、木の陰に何かが見えた。
あれは、人影・・・?
「誰かいるのか?・・・!」
声をかけると、ゆっくりと影が目の前に姿を見せる。
「女・・・?」
茂みからでてきた影を見て、思わず驚愕した。こんな時間に、こんなところに人がいた事など初めてだ。
茂みからでてきたのは女性だった。いや、女性と言うには少し幼いか。しかし、少女と呼ぶほど子供ではない。ちょうど良い塩梅の表現が見つからなかった。
綺麗な、どこかの姫様のようなドレスを着ていて、端的に言えば、おおよそこんな森には似つかわしくない格好だ。少なくとも、裕福な生活をしていたのだろう、という想像は容易い。
しかし、青年は面倒くさそうに踵を返して歩き始めた。
誰かに構っている余裕が無い。下手したら報酬が貰えなくなるかもしれない。今はとにかく街に戻らないと。魔獣も倒したから、一夜くらい乗り切れるだろう。
という少し下衆な考えだが、青年にとっては自然な発想であった。
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