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第5話
午後の会談では、元から話し合おうとしていたこと以外にも、互いの国境警備隊を強化し有事には協力することを追加した。
会談が終わるや否や、王妃がマシューに話しかける。
「マシュー様、クリスタル様は本当に貴族のご出身でいらっしゃいますの?」
あ…………もう完全にバレた。やっぱり付け焼き刃じゃ本物には敵わないよね。
自らを明かすことにした。
「本当に申し訳ございません。お二人に嘘をついていました。私はクリスタル・フォスター・アーチャー、平民の騎士でございます。ですのでマシュー殿下の婚約候補でもございません。本日は殿下の警護をしておりました。どうか、お二人を欺いたことをお許しください」
王妃は鼻で笑った。罵倒されるのを覚悟した。
「納得しましたわ。引っかかっていたことはあなたの説明ですべてつながりました。私たちに『まだそちらの王太子には婚約候補すらいないのか』と言われることが癪だったのでしょう?」
と言ってあざ笑う王妃。
「マシュー様にはやはり、まだ婚約候補すらいらっしゃらないのですね」
誰がどう見ても意地悪そうな表情でマシューをいじる王子。だが、
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