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一方、犯人のいる家へと目を光らせている私だが、嫌な予感は的中した。
国境警備隊が家を囲みこもうとした瞬間、煙突からではなく屋根の向こう側から、誰かが飛び降りたのだ。
犯人は一人ではなく二人いたのである。逃げる犯人は足が速く、鎧を着る警備隊では追いつけない。よく見ると手に刃物を持っており、最悪なことにこちらに向かってきている。
「まずいっ」
私はとっさに弓を構え、犯人の右肩を狙って矢を放つ。雨で視界が悪かったが命中した。
カランカラン……
犯人が刃物を落としたその隙に、警備隊が犯人を取り押さえる。
「よし。あの連射の間隔、明らかに一人ではできませんからね」
「でかした、クリスタル」
「でもあともう一人残ってますので」
リッカルドに褒められるものの気を抜いてはいけない。
最初に私が見つけた犯人を捕まえるまで、絶対に後ろの三人を傷つけてはならない。
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