第4話

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 しかし、警備隊の様子がおかしい。 「あのヤツ、どこ行った!!」  雨音にかき消されそうになりながらも、私の耳はわずかに声をとらえた。 「警備隊が犯人を見失ったようです! 一同警戒態勢!」  もうこのときには、私がマシューの婚約候補のふりをしていることを忘れていた。そんなふりをしている場合ではない。私の本当の任務は殿下の警護だ。  弓から長剣に持ち替え、近距離戦に備える。  真後ろから気配を感じた。 「ゼノスタンの王子なんて死ねばいいんだよ!!」  振り返ると、盾の壁を越える高さから、刃物を突き出しながら犯人が飛びかかってきていたのだ。私が初めに見つけた犯人である。  盾に足が当たってバランスを崩すものの、逆に反動がついて今まさにマシューを刃物が切り裂こうとしていた……!  私は左手に持っていた盾を捨てた。 「フンッ!!」  剣先で刃物を弾き飛ばすと、倒れかかってくる犯人を左腕で支える。  ところが、これが犯人の体勢を立て直すきっかけを作ってしまった。 「そこの女、ありがとさん」  余裕そうに私にお礼を言ってくるが、そんなに隙を見せていいのだろうか。 「だけどな……まだここにグハッ」  まず胴に峰打ちした。犯人の体勢が崩れ、すかさずもう一発 (すね)に峰打ちを食らわす。  犯人を転ばすことに成功した。 「王族殺害未遂で現行犯逮捕だ」  リッカルドたちが盾で犯人を押さえつけ、腕を縄でしばって確保した。騎士団で唯一片刃の長剣を使う私だからこそ、犯人の傷は最低限で済んだ。
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