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晩餐会が終わると、王城の外で夜警の騎士との引き継ぎをした。
「クリスタルちゃん、お疲れさま!」
その相手は、ベーム三兄弟の三番目であるオズワルドだ。彼は第二遊撃隊の隊長でもあり、私に剣術を教えてくれた師匠でもある。
月明りにその金髪とほほ笑みが映えてまぶしい。
「どう? 副団長 初のお仕事は」
「ただひたすらじっと集中しなければならないので、かなり疲れましたね」
「だよね~。僕もじっとしてるの苦手だからわかるよ~」
そのとき、脳裏にさっきの声がよぎった。そんな卑しいのが高貴な役職など務まるはずもない――
ううん、オズワルドさんに言ったところでどうにかなるわけじゃないし、あんなのに屈してるようじゃダメだ。強くいないと。
あの悪口は心の奥に押しこんでおくことにした。無理に作った笑顔をオズワルドに見抜かれていないか、その表情からは読み取ることができなかった。
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