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とても狭い土砂崩れの中、災害救助犬のハンドラーに長いリードを携えた1匹のチワワが中に入っていった。
記録的豪雨で、道路沿いの斜面の土砂が崩れて車が1台巻き込まれたのだ。
「た、頼むぞミニタ!!」
チワワのミニタはハンドラーの声に答えるように、土砂の隙間を掻き分けて瓦礫の中へ中へと入っていった。
いや、答える以前に既にチワワのミニタの本能が土砂の山の奥へと駆り立てていったのだ。
「待ってろよ・・・今すぐ僕が助け出してやっからな・・・」
ずしん、ずしん、ずしん、ずしん、ずしん、ずしん。
災害救助犬チワワのミニタは、慎重に慎重に土砂に脚をとられないように、脚を踏み外して怪我しないように、慎重に慎重に土砂の隙間を掻い潜っていった。
ずるっ!!
「しまった!!?」
チワワのミニタの脚が、豪雨で濡れた土砂に脚を取られて滑った。
「ぎゃん!!ぎゃん!!」
ミニタの頭が土砂の瓦礫に嫌という程ぶつけた。
「大丈夫か?!ミニタ!!」
外のハンドラの心配そうな声が、小さな土砂の穴の外から響いた。
「きゃん!!」
ハーネスで宙吊りになったミニタは鳴いて答えた。
・・・もしハーネスに繋がれなければ、僕は真っ逆さまに土砂の山から落下して即死だったな・・・
災害救助犬チワワのミニタは、ふぅ・・・と深いため息をつくと、体制を取り直して更に土砂の瓦礫の奥へ奥へと進んでいった。
くんか、くんか、くんか、くんか、くんか。
チワワのミニタの小さい鼻に、土砂に生き埋めになった車の中の犠牲者の匂いを嗅ぎとった。
「こ、瓦礫の中の人間の匂いは・・・?!まさか?!」
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