2#土砂に埋もれたあの日の約束の少女

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 ・・・・・・  ・・・・・・  それは、半年前のとあるイベントでの災害救助犬のデモンストレーションに災害救助犬仲間達が出演する事になった事。  「やーい!チワワ!!やっぱりチワワは俺らみたいにちっちゃいし力が無いから、デモンストレーションで愛想ふりまく事しか出来ないんだねーー!!」  災害救助犬でもベテランの域の先輩のレトリバー犬のドルジは、災害救助犬の小さな別注ジャケットを胴体に付けたチワワに向かって笑いながら囃し立てた。  「ちっちゃいやつ!ちっちゃいやつ!」  ミニチュアダックスのフルトも一緒にチワワの災害救助犬を嘲笑った。  「お前が言うな!!お前も僕と同じ小型犬の癖に・・・」  カチンときたチワワのミニタは、う~~~と唸って、あっかんべーするミニチュアダックスのフルトに威嚇した。  「こらミニタ!!ダメダメダメダメ!!ここは、災害救助犬の活躍を皆に見て貰うイベントなんだから!!  ここで喧嘩は止めろよ!!皆が見てるんだから!!」  ミニタのハンドラーは、リードを引っ張って宥めようとした。  「ミニタ!メでしょ!君は広報犬だから!大人しくしてなさい!」  ハンドラーに顔を撫でて叱られるミニタは、自分の『あくまで広報犬』という立場が理解出来なかった。  ・・・僕だって出来るもん・・・!!  ・・・なんで『広報犬』なんだよ僕・・・!!  ふて腐れて、拗ねてふて寝するチワワのミニタの側にひとりの女の子が顔を覗かせた。  「わんちゃん、撫でていい?」  「いいよ。優しくね。」  そんなハンドラーと女の子の他愛ないやり取りの後、女の子はチワワのミニタの頭に手を差しのべた。  さわっ。  それは、天使に触られるような感触だった。  ・・・心地よい・・・  チワワのミニタは、思わずウットリとして目を閉じた。  そして、鼻を付き出してその触る腕の匂いをクンカクンカと嗅いだ。  「ワンちゃんも救助犬でしょ?」  「くうん・・・(一応そうですけど)」  「もし、私がピンチになったら、助けてくれる?」  「きゃん!!」  「ホント?!嬉しいっ!!ワンちゃん私のヒーローになってくれるんだぁーー!!」  その時、その女の子の幸せそうな満面の笑みに、チワワのミニタの心はキュンとなった。  ・・・でもごめんね・・・僕はあくまで広報犬で、救助犬としての活動はしてないんだ・・・  と、本当はチワワのミニタは告げたかったが、女の子にはチワワのミニタの言葉は通じる訳でもなく、  しかしそんな考えも女の子の天使のような笑みには、本気で守ってやりたいと考えるようになった。  ・・・見ていろ、僕をチワワだと言って馬鹿にする奴らを見返してやる・・・!!  ・・・そしてこの女の子を何時か守ってやるんだ・・・!!  ・・・広報犬という立場を返上してもだ・・・!!
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