打ち上げ

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 翌日は学園祭の振替休日。  私はSNSの着信音で目を覚ました。  時計を見たら、もう昼近く! 慌てて起き上がって、右足の違和感に我に返る。  あの後、夜間救急で湿布してもらって、患部安静の為にギッチギチに包帯を巻かれたんだった。歩けない程じゃないけど、踏みしめるとやっぱり痛い。腫れが落ち着くまでは無理しないように言われている。  えと、通知の主は……。    ―― イルカちゃん、おはよ……かな?  ―― 足の様子はどう?   あわわ! フグちゃんだ!  ―― おはよ、でした  ―― 心配してくれてありがと  ―― ジッとしてる分には痛くないよ  ―― なら、よかった  ―― 明日の諮問委員会でロイコ嬢達の実刑判決出るってさ  ―― 多分、「90日間トイレ掃除の刑」だろうって  あららー、トイレ掃除!  イベント会場のトイレ? って突っ込みたくなるような総合のひっろいトイレを思い出して苦笑いした。女子トイレなんてクラスの半分くらいが同時に入れそうな個室数がずらりと並んでいたもんな。  ―― それ、求刑としては重い方なわけ?  ―― 懲役刑としては、ね  ―― でも、過去最高刑は、学業の支障になる行為を働いて、校長室のリフォーム頼まれたヤツだったかな  ―― リフォーム?  ―― 見積から全部やらされて半年かかったってさ  ―― 大変だったらしいよ  総合の基準はよく解らない。  ―― ところで、明日の夕方、時間空いてる?  ―― 空いてるよー  なんだろ。デートのお誘いかな……。  私、ドキドキしながらフグちゃんの次の言葉を待った。  ―― 総合の家政科服飾の面子で学校祭の打ち上げするんだけど  ―― 一緒にどおかなぁ  あ……、そういう……。  ガッカリしたような、ホッとしたような、複雑な気持ち。  ―― うん  ―― いいよー  昨日、母に言われたコトが脳裏によぎる。  フグちゃんの側にいると、どうしてもあふれてくるヨダレと、モヤモヤソワソワする気持ち。コントロールするには、名実ともに……ゲフンゲフン。  いやいや……そういう方向へ軽々と流れて行くのは良くない……と思う。どっちにしろ、特性的に相性はいいらしいことは解っているんだから、すぐそう言うことになっちゃうのは、……なんか気持ちがこもってない気がする。それこそ特性に流されちゃって誠意が無いみたいな気さえする。  うん。  大丈夫。  他のみんなが一緒なら、そう言うことになりようがない。
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