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「ボクの……身内ってさ、あの……『視線が合ったら』って、アレが在る所為でいわゆるお年頃の時はモテモテでさぁ。……その……『初体験』ってヤツ? が、比較的早い……みたいなトコロがあって。その所為で、その……丁度背が伸びる時期とイロイロ重なっててさ、違和感なく過ごしてきてたみたいなんだよね」
顔を赤くしてしどろもどろになりながら説明してたフグちゃんは、それはそれは可愛くてもう……私の理性が飛びそうだったけど、彼は彼でとっても真剣だったからそこは鋼の意志で耐えた。
「ダイゴと……なんでボクの背がなかなか伸びないんだ? って話になってさ。ダイゴは高校になってから急に背が伸びたから、あの……切っ掛けがさ、アレなんじゃないかって。そしたら、ボクの父もそうだったみたいで……」
「じゃあ……神経毒は?」
フグちゃんが小柄な理由と神経毒は関係ないってこと?
「んー、それはどこから来たのか分からない。ホントに突然変異なのかもしれないし」
えーと……えーと……それはつまり、私のこのムラムラとフグちゃんの成長とを上手いこと解決する方法が……一緒かもしれないってこと?
顔を赤らめて直立不動になっちゃった私を見て、フグちゃん更に挙動不審になった。
「あっ! でもこれはあくまで可能性だから! 本当にそうかどうかはなんて解らないし、そのためにイルカちゃんの考え無視してボクだけ暴走しちゃうのは違うと思うし! もし、ホントに……ボクの背が延びちゃったら……もしかして今のボクじゃなくなったら……イルカちゃん、気が変わっちゃうかもだし……」
だんだん尻つぼまりになって下を向くフグちゃん。
私、そっと周囲を見回した。
路地は先程よりまた人通りが少なくなっている。
「私にとっては……身長がどうとか見た目がどうとか言うより、やっぱ匂いが大事なんだよね。例えフグちゃんの背が私と同じくらいに伸びたとしても、フグちゃんの匂いは変わらないと思う。それに、フグちゃんの中身が変わっちゃうわけじゃないんだから、そんなこと気にしなくてもいいよ」
「!」
ピョコンと顔を上げたフグちゃんのホッとしたような泣きそうな顔を見たら、思わずグッと来てしまって、私、頑張って息止めて、ぎゅうっとフグちゃんを抱きしめた。
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