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「ごめーん! イルカちゃん! 途中で引っ掛かっちゃった! お待たせだったよねっ」
パタパタと軽快な足音が近付いてきて、私は銅像に向けていた目を音の方に向けた。サラサラヘアを躍るように揺らして駆けてきたのはフグちゃんだ。
「ダイジョブ。あんまり待ってないよー」
ニッコリ笑って返す。
「ねー、何がいいか決めといてくれた?」
睫の長い黒目がちな目をキョロリと動かしてフグちゃんは私の顔を覗き込んだ。お誘いメッセージで、何が食べたいか聞いていたのだ。
「んとね、私、和菓子系が好き……なんだけど」
ちょっと顔色を窺うように答える。私の周囲は、洋菓子系が好きな子が多い。フグちゃんもそうなんじゃないかと思うと、言葉が尻つぼまりになってしまった。私の答えを聞いたフグちゃんは、パッと目を輝かせて大きく頷いた。
「オーケーオーケー! まーかして! いい甘味処知ってるんだ! 行こうっ!」
フグちゃんはそう言って、私の袖口を摘むようにして引っ張った。
「あんみつ? 羊羹? お汁粉?」
「ええっと……蜜豆。ちゃんと赤豌豆のが好き」
「わお! 奇遇! ボクも!」
何ていうか、メチャクチャフレンドリーな子だなぁ。
私はフグちゃんに袖を引っ張られながら駅前交差点へ向かった。
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