特質

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 今から百年ン十年前、大規模な太陽フレアが地球を見舞った。  それまでも、その可能性が指摘されていて、各国それぞれ出来得る限りの対策を講じていたはずだった。が、世界中の国がそれに対応し得る国力と科学力を有していたのかというとそうではなく、当然テクノロジー格差が生まれた。  先進国の国内でも隅々まで無事であった例はなく、先進システムの維持とその復旧のために、限られた資源は争奪戦となり世界情勢は紛糾を極めた。  以前の環境にまで復旧するにはコストも時間もかかりすぎる。案外とローテクに戻った方が快適に生活できるのではないか。そんなわけで、一部の経済活動が人海戦術に頼るローテクに戻った。  それが、今の、過密、雑多、ゴッチャの世界。  というのが、歴史の授業で習ったコト。  以前のハイテクノロジーの世界を知っているのは、ひいおばあちゃんの世代くらい。大体のことをリモートでこなしていたと言う話は「便利だな」とは思うけど、肌感覚のコミュニケーションが希薄になり先進国が大幅に人口を減らしていったって話や、地域によっての科学力の斑具合は今の比ではなく、国力の差が如実にテクノロジーの差になっていたとか、人口密度が希薄なところはそれこそ何が出てくるかわからない魔境だったとかって話を聞くと、今でいいじゃんって思う。  満員電車は嫌いだけど。
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