① messenger/リンキンパーク

14/21
前へ
/130ページ
次へ
 …やはりおかしい。  次の日、俺は朝、BPNの控え室兼事務室でいつものように原さんに挨拶をした。  「は、原さん、お、おはようさ、さん…」  すると、原さんは俺にかなり怯えた表情を見せた。  「お、おはよう…」  まるで化け物でも見るように俺を見てから、その目を極力合わさないように答えた。  「…」  俺には不思議だった。  普段の原さんはもっと朗らかに俺の挨拶に答える。だが、今朝はおかしい。まるで俺に怯えているようだ。ビクビクしているのだ。  この原さんは、俺に隠しているが、昨日見た村木、狩野の仲間でこの職場にも村木から「良い働き口があるぞ」と誘われて入社した(…と予想している)。おそらく、村木から「あの鈴木っていう口の不自由な奴はすぐに辞めるから…」などと言い含められた(…と俺は予想している)。  原さんをBPNに入社させ、俺をこの病院から完全に排除させる村木の策略だった。  しかし、その通りにはならず、俺はBPN辞めなかった。  さらに村木の策略は、BPNの俺の上司、吉井BBAに“利用”された(…と俺は予想する)  村木は、この原さんに俺の退職によるシフトの増大と仕事内容の変更を告げていた(…と俺は予想)。  当然、そうならなくなった。  これも俺の予想だが、二人はその事で多少口論になったりもしたが、原さんはなんだかんだ言いながら、今もBPNで働いている。  村木の“策略”は潰えた。  その時、俺は“とある夫婦”の痴話喧嘩に巻き込まれ、それどころではなかったが。  で、今の原さんのこの様子。  (…なんだ?)  やはり、あの村木や昨日の狩野の様子と関係あるのか。  俺は1度整理してみる必要性を感じた。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加