Bird's Eye

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「この地図を見てくれ。等高線の配置に注目してな」 山岳の勾配を表す無数の曲線は、北の首都に向かうにつれて数が多く、南の海に向かうにつれて数が少なくなだらかになっていた。 「知っての通り、この砂漠は丘陵状になっている。首都は南の海から波が届かないよう高い北に創られたようだな。だがその勾配は緩やかなため、一見そうなってることに気づきにくい。キンダーソン。ここから海は見えるか」 「…いえ、見えませんね」 「そうだろう。この地点では首都の建造群も海も見えない。それに加えて東西には特徴がない一本道。告示した湧水池も相まって一瞬でも気を抜けば見間違えることもある…やもしれぬ」 フレンはそこまで一息で言うが、確信が得られていない様子だった。 「砂嵐でここに退避した結果、方向を見失った…ということでしょうか?」 「そんなの自分達のせいじゃねえか!ちゃんと地図読めってんだ」 憤るキンダーソンだったが、それでもフレンは訝しむのを止められない。 「しかし…それだけでは説明できない。何か、決定的に迷う理由があるはずだ。それを突き止めない限り正確な地図とは言えない」 正確であることを証明するために、誤った理由を探さなければいけない。そう思った次の瞬間、今度はカイルが声を挙げた。 「…あれ」 「どうした、カイル?」 「す、すみません。今、冒険者協会の伝書鳩が飛んできたのですが…この方角だったかなと」 「なんだと?」 キンダーソンの問いに少し怯えながらも、カイルは必死に伝える。 「手紙は北から届くはずです。しかし太陽の位置から察するに…飛んできた場所は西からでした!」 「そんな馬鹿な!一歩も動いていないのに方角が狂っただと!?」 「っ」 キンダーソンの叫びに呼応するように、フレンは懐中方位磁針を取り出す。するとその銀色の針は渦を描くように激しく回転し、方位を確かめる役割が不能になっていた。 「これは一体…どうなっている…?」 いつもは極めて沈着冷静なフレンも、この自体には冷や汗をかいて立ち尽くすしかなかった。
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