Bird's Eye

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周囲を見渡す二人。すると、不意に老人が指を指したのでそこを見ると、大人の腕がゆっくりと砂に呑まれていくのが見えた。 「カイル!!」 「引っ張り上げ…くそ、間に合わねぇ!」 キンダーソンの手は間一髪間に合わず、カイルの手は泥濘の中に沈んだ。よく見ればそこは先程まで別の位置にあったはずの湧水池で、確かに位置の把握もしていたはずだった。フレンは混乱しそうな頭を抱えながらも、待機させているロック鳥へと駆け出した。 「局長!息子を置いていくのか!」 「違う!キンダーソン、爺さん、乗れ!一刻を争うため奥の手を使う!」 フレンは画材などが入った鞄から厳重に梱包された黒い玉を2つ取り出すと、そのままロック鳥の鞍に飛び乗った。 「お、お前さんそれはまさか!なんとバチあたりな!」 「局長、本気か!?」 「当たり前だ!息子が…いや、社員が危険なんだぞ!多少地形が変わってでも…やってやるとも!」 キンダーソンも上回るほどの荒々しい口調で叫ぶフレンは、全力でロック鳥の手綱を引いた。ロック鳥は垂直に飛び上がり、鞍にキンダーソンが片手をかけ、もう片手で老人の襟首を掴んでぶら下がっている状態で高く舞い上がった。 「む、無茶苦茶じゃあ!」 「危険手当貰いますからね、局長ォ!」 「ああ何だってくれてやる…局長権限において、なぁ!!」 次の瞬間、フレンの手から二つの玉が投げ下ろされ、地表から激しく砂塵が舞い上がった。 〜*〜 冷たい闇の粒を潜り抜けたカイルの身体が宙に浮き、すぐに冷たい無重力へと受け止められた。水に落ちた、と瞬時に感じたカイルは、慌てて水面に顔を出した。顔を拭って周囲を見回すが、暗くて何も見えない。手伝いに感じた岩壁の突起に指をかけて上半身だけを引き上げ、胸ポケットに入れていた黒曜石の破片に似た鉱石を取り出して壁に叩きつけた。この鉱石は衝撃を与えると光を放ち、大気中の水分に反応して光を増す性質を持つ。暗闇で地図を読む際に重宝するものなのだ。 石から放たれた青白い光で見えるようになった風景は、一体どこから流れてきているのか想像もつかないほどの水量を湛えた水路だった。 (地下水脈…!地上の湧水池の水源はこれだったのか) カイルは驚愕するのも束の間、這い上がれそうな岸を見つけて身を投げ出すと、改めて石の光で周りを見渡す。膨大な地下水脈の流れは黒い奔流となって、どこかへ勢いよく流れているようだ。 「しかしどうしよう、どうすれば救難信号を送れるかな?父さんやキンダーソンさんは来てくれるだろうか…」 しかし、もう落ちてきてしまったものは仕方ない。むしろこれは、道が狂う原因を突き止めるチャンスかもしれない。カイルは好奇心をもって心を奮い立たせ、光る鉱石を握りしめた。
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