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ウサギは分かりはじめていた。 私がこんな姿になったその理由は、きっとこの目の前に広がる青い星にあると。 その夜、ウサギは夢を見た。 青い星から小さなガラス瓶が届いた。ふと目覚めると、手に持っていた。ウサギはその小瓶を目にそっとあてた。 また眠ってしまった。 朝、目覚めて、いつものように青い星を見た。 そこにははっきりと青年の姿があった。 ―― この人に出会うためにずっと私はここにいたんだ。 珊瑚の赤い目に、青のサファイアが宿っていた。 時間とともに彼女の美しさは磨かれていった。 青年のひとり住まいの家は建物より、庭の方が広かった。夜の暗闇のところどころに野草の花が咲いていた。 青年はその音にびっくりした。 はっとして天体望遠鏡の星から、夜空に視界を移した。 月の女性を見上げた。いつもの光景だった。 近くの湖畔で花火が上がっていた。 ―― そうか、今夜は七夕の花火。 花火が月の近くに上がる。 そこには月を背に、月の光にもまさる輪郭の存在で浮きでているような女性の姿がある。 花火がその周りで咲く。 もう彼女は人として生きているように思えた。 青年は庭で月に手を伸ばした。 ―― あんな小さかったウサギが、なんて美しい。 花火が上がる。 また花火が上がる。 月の彼女は色とりどりの咲き誇る花に飾られた。 ついに、熟れた時間の果実がはぜた。 突然、声が、届く。 「青い星を背にあなたが見えています。あなたはわたしが見えますか?」 驚きはなかった。いつかこの時が来るとわかっていた。 「はい月を背にあなたが見えます。はじめまして」
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