そして

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

そして

 翌朝、普段は滅多に鳴らない俺の部屋のインターフォンが鳴った。  どうせ大木だろうと思い、外を確認せずにドアを開けた。目の前には警察官が立っていた。 「交通安全課の岩井と申します。田山昭人さんですか」 「あ、はい」 「昨晩、緑橋トンネル付近を車で走行していましたね。近所の方から通報がありましたよ。昨晩のあなたの行為は、交通違反通告書の対象になります」  岩井警察官は、そう言うと俺に青切符を渡す。まさか、ここで「ゆるさない」とでも言うのか? 「す、すみません。でも、うちの大学の学生なら、時々ああやって実験してると思うんですけど」 「ええ。卒業課題とかで、こちらの学生さんが毎年、あのトンネルを調べているのは、知っていますよ。しかし、昨晩の行動は常識的にも、交通安全の面から見ても完全にアウトですから」 「は、はい。どうも、すみません」  アドレナリンの入った自分を反省する。 「もう二度としないで下さいね。いくら夜中だからって、車の上に人を乗せて走るなんて、絶対に止めて下さいよ」                (了)
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!