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だが、「いえ」と返事をした時にはもう岸田と冗談を言い合っていて、出際にもう一度律の方を見てから、店を出て行った。
「律くん、もっとスマイル、スマイル」
岸田が眼尻を下げたまま、店内の商品の確認を始め、律は何か宙ぶらりんな気分のまま、仕事に戻った。
日が暮れきる前に、花火の音が聞こえ始めた。それがスタートの合図だったかのように、客が増え始めた。飲み物を補充しておいたのは正解だった。
次々と響く花火の音と、人のどよめきを聴きながら、律はバーコードリーダーを操作し続けた。こんなに忙しいのは桜のシーズン以来かもしれないというぐらいに、レジ打ちに没頭した。
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