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花火のあと
夜の九時前に、盛大な打ち上げ花火で締めくくりとなり、そこでまた帰宅する人々が店に押し寄せた。岸田は地域の顔なのか、来る客や若者にひっきりなしに話しかけられていて、律はその分、ただ黙々とレジをやり、煙草を出し、夜間便の配送を受けた。冷房の効いている部屋にいても、少し背中に汗をかいた。
それも一時間程で落ち着いた。通りの人声が急に遠くになって、店内は虚ろに聴いた事がない女性グループの歌が流れていた。
岸田がレジカウンター内の台を椅子代わりに腰を落ち着け、自分の肩を揉みながら言った。
「よう頑張ったな。お疲れさん」
「お疲れ様でした。今日きつかったっす」
岸田が頷いて、大きく伸びをした。
「上期クライマックスシリーズみたいなもんやからなぁ。よう二人で切り抜けたで。もう上がり。あとは何とかするから」
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