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田舎の夏の夜は涼しく、クーラーが必要ないぐらいに気温が下がる。
そんな中、俺は縁側に座って足をぶらぶら揺らしながら、写真に収めたくなるような、とても綺麗な星空を見上げていた。
今日はお盆で祖母の家に帰省しており、親戚が一斉に集うこの日は夜遅くまで宴会が続く。
聞こえてくる声の感じではまだお開きにはなりそうになく、遊び疲れた小学生のいとこ達は眠ってしまっていた。
後どれくらいで終わるだろうと、分かるはずもない終わる時間を想像していると、視界の左端で何かが動いた。
気になってそちらに視線を向ければ、見知らぬ坊主頭の少年がこちらを覗き込んでいた。
右目の下には小指の爪ほどの赤黒い痣があり、ぱっと見で目を引くような特徴的な痣だった。
祖母に用でもあるのかと思ったが、俺と同じ中学生ぐらいに見えるその少年は、人懐っこい笑みを浮かべて手を振ってきた。
まるで親しい友達に挨拶をするような反応に困惑しつつ、俺に向かってしているその行動を無視することも出来ず、胸元ぐらいまで手を上げて小さく手を振り返す。
毎年事あるごとに祖母の家は訪れているが、近所の子供と関わったことは一度もなく、その少年も知り合いなどではない。
祖母の知り合いの関係なのだろうが、少年は玄関には向かわずにこちらに歩み寄ってきた。
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