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「変わらず、美しい光景だ」  淡い光がいくつもただよい、明滅している。  彼はわたしを降ろして寝かせると、その横で座った。 「あれが全部、生物が自ら発している明かりだなんてね。とても不思議だよ」  蛍の光の一つが、彼の足もとでとまった。彼は両手で優しく、それを包みこむ。彼の手の中で、黄緑色の光が力強く輝く。ちょっとした感動を覚える。 「僕はこの場所を壊したくない。自然災害とかでなくなってしまうのならば、仕方がないと諦めがつく。けど、人間の手で、しかも一部の層のエゴで、この美しい世界を破壊するだなんておこがましいと思わないかい?」  語りかけられても、わたしは無言のままだった。ただ夜の空を見あげていた。  やがて彼は蛍を解放し、あたりの小石を集めだす。それを、わたしのズボンのポケットや服のあいだに詰めていった。  そのあと、彼はわたしをお姫さまのように抱えると、ゆっくりと水たまりの中へ足を踏み入れていく。 「ここは意外と深いんだ。ゾッとするほどにね。昔、泳いで溺れかけたこともあるから、よく知っている」
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