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 わたしを真ん中あたりまで運び終え、彼はわたしを水の中へと沈めた。わたしの体はなんの抵抗もなく、水底へ吸いこまれていく。  あっけないさまに、わたしはわたし自身を見おろしながら、奇妙な感覚に陥った。そして、死を実感した。 「水の底は驚くほど冷たいらしいよ。だから、きみの体も腐らずに美しいままだと思う」  彼は、わたしが沈んだのを確認すると、やわらかな笑みを浮かべた。わたしの好きだった、あの優しい笑みを。 「朝になったら、僕は自首するよ。この山に恋人の死体を埋めたって。これで、きみが見つかるまで警察は捜索するだろうし、開発も延期になるはずだ。うまく行けば、中止になるかもしれない。不気味だからね、死体があった場所なんて」  わたしは、彼の感情が理解できなかった。  この蛍たちの楽園を守るために、人殺しをしてしまう彼の気持ちが、わたしにはわからなかった。
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