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忘れられない出会い
『Is it for something?』
耳触りの良い声が降ってきたかと思うと、ふわっと肩を抱かれる。
同時に甘く爽やかななんとも心地の良い香りが鼻を擽る。
私の肩を抱いている人物が何者かは分からなかったが、肩に置かれた手を振りほどくことはできない。
なぜなら目の前にいるしつこい男を追い払えるかと思うと、このチャンスを使うしかないと思っているからだ。
とにかく目の前の男を追い払いたい一心で、誰かも分からない男に体を預ける。
それを見た目の前の男は舌打ちをして去っていく。
ほっとして、肩を抱いている男にお礼を言おうと体を離そうとするのと同時に体が突き放される。
急に体を突き放されて驚きで体が固まる。
更に驚くことが私の身に降りかかる。
私は今アメリカにいるはずなのに、聞きなれた言語が耳に入ってくる。
「困っていたようだったので。そうじゃなかったら、すみません」
声の主を見ると、肘を曲げて万歳をしながら困ったような顔をした男が目に入る。
その姿を見た途端、どくんと心臓が大きく音を立てる。
長身に黒髪のイケメンが目の前に立っている。
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