壊れかけた夜

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 目覚めるとベッドのベッドの上にいた。  保湿にしたままのエアコンがとまってしまったらしく、鱗の表面が乾いていた。  窓からは朝日が射し込み、時計の秒針も日常の動きを取りもどしている。  窓をあけると快晴で、鱗の表面にあたる日差しが心地よかった。  しかし、自分がみていたものの正体がわからない。  夢であろうか。それともなにかのトラブルで深淵を覗き込んでしまったのだろうか。 ――ありえない。  そう想い信じたかった。  だがもしアレが、神ではなくとも、それに近しい存在だったとしよう。  とすれば、アレらは我ら魚系(ぎょけい)人類とは別の人類を造りを実験していたのではないだろうか。  自分らの生活に役立つ奴隷(スレイブ)人類を生み出し、役立てようとしていたのかもしれない。  だとすれば、我々魚系人類も彼らに創造されたのか?  いや、ありえない。  もしそうだとしたら、魚系(われわれ)人類を生み出した時点で実験は終わっていたハズだ。実験を続ける理由はない。  だとしたら、我らから地上の覇権を奪うべき、❝新人類❞でも作っていたというのか?  実験場にいた、毛のない猿のような人類の姿を思い出す。  鱗のない身体は奇妙に映ったが、その凶暴性と戦闘力は我らを圧倒するのではないかと思われた。  あんな連中と戦うこととなれば、恐ろしい結末に陥るかもしれない。 ――あれはただの夢だ。  そう結論付けて、おぞましい記憶の脳裏から消し去る。  自分の中で失いかけていた信仰を復活させ、 「イアイア、クトゥルフ……」と神を称える偉大な呪文を口にするのだった。
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